細かい決まりに縛られるほど手が自由になるという白い上着をめぐる逆説

最終更新日

白い上着と細かな決まりに囲まれて始まる一日

実習に入る前には、上着の前を留め、帽子の中へ髪を収め、前掛けの位置まで確かめる時間があります。決まりの数だけ見れば窮屈に感じるはずなのに、身につけ終えると気持ちが静かに切り替わっていきます。

袖の長さや裾の始末についても、動いたときに引っかからない形が細かく決められているそうです。見た目をそろえるためだけの決まりではなく、体の動きを妨げないための形だと説明を受けています。

白い色が選ばれている理由についても、汚れがすぐに目に入るからだと教わって納得がいきました。気づいた時点で取り替えられるので、そのままにして一日を過ごしてしまう場面が減っていきます。

爪の長さや指輪の有無まで、台の前に立つ前に確かめる項目として並べられているのが決まりです。確かめる順番も決まっているため、その日の気分によって抜けが出てしまうことがなくなっています。

縛られているはずの決まりが手を軽くする仕組み

細かい決まりに従うほど、実習中に自分で判断しなければならないことが減っていくと気づきました。服装で迷う時間がなくなった分だけ、目の前の材料と手順のほうへ気持ちを向けられるようになります。

同じ姿で並んでいると、誰がどこにいるのかが一目で分かり、声をかけ合う手間も少なくなります。班で動く場面では、この分かりやすさがそのまま動きの速さになって表れてくるように感じています。

決められた形が体に入ると、着替えの間に頭が実習へ向かうという切り替えが自然に起きてきます。始める前の気持ちを整える働きまで、この決まりは静かに受け持ってくれているのだと思っています。

調理師専門学校でこうした決まりが徹底されるのは、資格を得た先の現場につながっているからです。料理に向かう時間を長く保つためにこそ、その前の形が細かく定められているのだと分かってきます。

まとめ

制服と身支度の決まりは、外から見れば窮屈な縛りのように映りますが、実際には手の動きを軽くしてくれています。迷う場面をあらかじめ減らしておくことで、限られた実習の時間を目の前の作業へ集められるようになるからです。

形が決まっているからこそ、その日の体調や気分に左右されずに、いつもと同じ状態で台の前に立てるのだと思います。自由に選べる余地を残しておくほど、選ぶこと自体に気を取られてしまうというのは、なかなか気づきにくい仕組みです。

これから学ぶ人には、決まりの多さを負担としてだけ受け取らずに、その働きを確かめてみてほしいと思います。守るほどに動きが軽くなっていくという逆の関係に気づけたとき、身支度の時間の意味も変わってくるはずです。

Goffredo