急いで引くだしと落ち着いて引くだしを比べて見えてくる実習台の上の違い
急いで引いただしと待って引いただしの飲み比べ
だしを引く実習では、班をふたつに分けたうえで、火の入れ方だけを変えた鍋を並べることがあります。同じ材料と同じ水を使っているのに、出来上がった液体の色も香りも並べてみると違って見えます。
一方の鍋は火を強めて短い間に仕上げ、もう一方は火を弱めたまま静かに待つという形を取ります。静かに待った側の鍋からは澄んだ香りが立ち、急いだ側の鍋には濁りとともに雑な味が残っていました。
味を比べるときには、同じ器へ同じだけ注ぎ、温度が近い状態でひと口ずつ含むように指示されます。条件をそろえてから比べないと、味の差ではなく温度の差を口にしてしまうからだと教わりました。
どちらが正しいという結論を先に示されないまま、感じたことを言葉にして書き出す時間が続きます。隣の人と違う言葉が出てきたときこそ、自分の舌が何を拾ったのかを考え直すきっかけになります。
同じ材料でも味が分かれる理由を追いかける時間
香りが立つ側と味が濃く出る側は必ずしも一致せず、比べるほどに単純な優劣では割り切れなくなります。急いだ側にも力強さがあり、その味を生かせる場面が別にあると知って、見方が大きく変わりました。
引き終えただしをこす場面でも、使う布の目や絞る強さの違いが、仕上がりの澄み方に表れてきます。強く絞った側は量こそ増えるものの、濁りまで一緒に落ちてしまうため、狙いによって使い分けます。
調理師専門学校の実習でこうした比べ方を教わるのは、正解をひとつ覚えるためではないと感じます。手を変えれば結果が変わるという当たり前のことを、自分の舌で確かめておくためだと思っています。
資格の勉強で読む文章にも、だしの取り方についての記述が並んでいて、頭では理解していました。それでも実際に並べて飲み比べた日の記憶のほうが、料理を組み立てる場面ではよく働いてくれます。
まとめ
急いで引いただしと待って引いただしは、口に含んだ瞬間から違いがはっきりと分かるほど別のものになります。どちらが上かを競うのではなく、その差がどこから生まれたのかをたどることに練習の意味があるのだと思います。
火の強さ、待つ長さ、こすときの力の入れ方という、どれも小さな選択の積み重ねが味の輪郭をつくっています。比べる相手があるからこそ違いに気づけるので、同級生とそれぞれ別の条件で引いて持ち寄る形が生きてきます。
だしを引く練習に向き合う人は、うまくできたかどうかよりも、何を変えたのかを覚えておいてほしいと思います。変えた点と出てきた味を並べて書き残しておけば、次に鍋の前へ立つときの手がかりが少しずつ増えていきます。調理師専門学校のことならこちら